研究課題
肺動脈性肺高血圧症の閉塞性血管病変の進展・維持には、腫瘍様異常細胞の増殖が主で、血行動態ストレスの病態的役割は非常に少ないと考えられていた。一方、申請者は、自身が開発した新生内膜・叢状病変(plexiform lesion)など閉塞性病変を示す疾患モデル(Abe K, et al. Circulation 2010)に、片肺動脈縮窄により血行動態ストレスを軽減すると、炎症が抑制され閉塞性病変が退縮することを報告した (Abe K, et al. Cardiovasc Res. 2016)。本研究は、血行動態ストレスが炎症を介し肺血管閉塞性病変の進展・維持するという新たなパラダイムのもと、炎症と閉塞性肺血管病変の進展・維持機構を解明し、新たな難治性肺高血圧症の治療戦略の確立を目的とする。肺高血圧症ラットモデル(Su/Hx/Nxモデル)における血行動態ストレスを起点として誘導されるtoll-like receptor 9 (TLR9)の活性化、および無菌性炎症と閉塞性肺血管病変の進展・増悪機構を解明し、新たな難治性肺高血圧症の治療戦略を確立することを目的とする。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り。肺高血圧症モデル動物に対して閉塞性血管病変の進展におけるサイトカイ、特にIL6の測定とその上流シグナルの解析を行った。研究成果は、国内外の主要学会のシンポジウム等で口述発表に採択された。
TLR9活性化を介した閉塞性血管病変の進展における炎症誘導機構の解明を行う。重症化した肺高血圧モデルに対して、TLR9阻害剤を投与し、血漿・肺組織におけるサイトカインを測定し、無菌性炎症にミトコンドリア障害とTLR9活性化が直接的に関わっていることを明らかにする。現時点で研究計画遂行における問題点は特にない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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