研究課題/領域番号 |
17K09781
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高松 孝太郎 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50706447)
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研究分担者 |
中根 俊成 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70398022)
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20253742)
佐野 泰照 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20379978)
神田 隆 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40204797)
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50276242)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重症筋無力症 / 筋炎 / 神経免疫 |
研究実績の概要 |
重症筋無力症 (Myasthenia gravis: MG) は、神経筋接合部を標的とする自己抗体が原因となる自己免疫疾患であるが、一部の症例では筋炎・心筋炎を合併することがある。特に心筋炎を合併したケースは重篤で突然死の原因となりうる。筋炎、心筋炎を合併した MG の多くでは、抗横紋筋抗体が陽性であり、炎症部位 に免疫担当細胞が浸潤することが確認されているが、その詳細な病態は未だ解明されていない。本研究では、抗横紋筋抗体や壊死性ミオパチーを起こす自己抗体 が骨格筋および心筋障害を発症するメカニズムを、in vitro と in vivo の実験系によって自己抗体の病原性を検証し、適切な治療アルゴリズムを樹立する礎とする。 我々は自施設で筋炎および心筋炎を合併した MG を2症例経験した。いずれも一般的な重症筋無力症と比較して重篤な経過をたどり、人工呼吸器管 理を必要とした。これらの症例でも抗アセチルコリン受容体抗体に加えて、抗横紋筋抗体である抗 Kv1.4抗体、抗 titin 抗体が陽性であった。 当科にこれまで入院加療歴のある心筋炎、筋炎を合併していない抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症でも抗 titin 抗体を Elisa 法で測定した。筋炎非合併例でも抗 titin 抗体が陽性となるケースが確認された。抗titin抗体陽性患者血清 (筋炎合併、非合併)を、それぞれマウス横紋筋細胞C2C12細胞に添加したところ、MTS assay にて筋炎合併MG患者血清では細胞障害を認めた。しかしながら患者血清を非動化することで細胞障害を認めないことか ら、患者血清中の補体依存性の細胞障害に病態に関与している可能性が示唆された。非動化した血清、血清から抗体を分離して細胞に添加することにより、抗体が細胞に及ぼす影響について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋炎合併 MG 患者の血清がマウス横紋筋細胞C2C12細胞を障害、補体を不活化することで細胞障害が抑制できている。このことからは筋炎合併MGの病態に関しては、補体依存性細胞障害が関与していることが予想される。非動化した血清に補体を加えて細胞に添加したが、細胞障害を再現することができていない。抗体の分離をおこない、細胞に添加する実験でも同様に細胞障害を確認することができなかった。今後はさらに病態を解明するためには、より生理的な条件での抗体生成、補体の添加による細胞障害の再現ならびにマウスを用いたin vivo での研究をおこなっていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後はヒト由来の筋由来細胞で補体依存性の細胞障害毒性の確認をおこなっていく。抗横紋筋抗体以外の壊死性ミオパチーを発症した複数の患者血清でも同様に細胞障害の再現をこころみる。さらにはMG関連筋炎マウスモデルの確立、抗補体抗体療法による治療戦略の確立を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液筋関門である血管内皮細胞に対する患者血清ならびに抗横紋筋抗体の影響をTEER(Trans Epithelial Electric Resistance)を測定する予定であったが、実験の遅れにより血管内皮細胞に対する影響が検討ができていない。今後は血管内皮細胞を用いた実験系を確立、患者血清が血管内皮細胞に及ぼす影響をTEERで検討していく。TEER測定のために、初年度に購入予定であった器材である上皮細胞抵抗測定器 (EVOM2)をに購入する予定である。
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