研究課題/領域番号 |
17K10339
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
飯田 順三 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50159555)
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研究分担者 |
牧之段 学 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00510182)
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10553646)
安野 史彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (60373388)
山室 和彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60526721)
岩坂 英巳 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70244712)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 小脳機能 / 協調運動 / 感覚統合 / 事象関連電位 / 近赤外線スペクトロスコピィ |
研究実績の概要 |
小脳は自閉スペクトラム症で障害される脳部位の一つであるが、同時に協調運動障害が高率にみられ、この協調運動障害は小脳機能障害によるものではないかと推測される。 そこで1年目の研究では自閉スペクトラム症患者と健常者の小脳機能を測定すべく、手の巧緻運動機能検査(オコナーテスト、バーデュテスト)を施行した。各30名ずつを対象とした結果、自閉性が高いほど、手の巧緻運動機能が低いことが明らかになった。 そこで本年は感覚統合療法の有効性について検証することとした。感覚統合療法はAyresにより考案された自閉スペクトラム症患者で障害されやすい触覚、固有受容覚、前庭感覚の統合を目的としており、発達性協調運動障害の治療法の一つであり、また感覚統合療法により自閉スペクトラム症患者の社会機能が改善したという報告もある。しかし、自閉スペクトラム症患者に対する感覚統合療法の有効性について脳機能および小脳構造の変化など生物学的に検証した研究はない。このため、本年度は、6歳以上10歳以下の自閉スペクトラム症児に対する感覚統合療法の有効性について、近赤外線スペクトロスコピィ、事象関連電位、頭部MRIを主要評価項目とし、この他オコナー巧緻テスト、パーデューペグボードテスト、対人応答性尺度、日本版感覚プロファイルについても評価を行った。感覚統合療法の開始に先行して、8例の自閉スペクトラム症児(平均年齢7.75歳)に対して介入前評価を行った。そして、介入前評価に引き続き感覚統合療法による介入を実施中である。 3年目は、引き続き感覚統合療法の検証研究への対象者を増やすとともに、介入後の評価を実施し、介入前後の比較検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感覚統合療法への被験者リクルートが本年度から開始されたが、症例を集めることに難航している。なお症例の検査のうちMRI検査が実施不可能になるケースがみられる。
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今後の研究の推進方策 |
感覚統合療法への被験者リクルートを診察時に広報していく。奈良医大で児童思春期外来を担当している児童精神科医、奈良医大関連施設である奈良県総合医療センターこども心療科、ハートランド信貴山こどもと大人の発達センターに詳細に研究への協力を依頼して症例を集めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度助成金は感覚統合療法の研究の対象症例が少なかったこととマウスの自閉症モデルの小脳と協調運動の関係の研究が進まなかったことにより助成金の残額が生じた。3年目は確実に感覚統合療法の研究の対象症例を増やし、できればマウスモデルでの研究を進め、その成果を国際学会で発表することで研究費を使用する予定である。
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