研究課題/領域番号 |
17K10379
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鶴崎 正勝 近畿大学, 大学病院, 准教授 (00379356)
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研究分担者 |
村上 卓道 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20252653)
兵頭 朋子 近畿大学, 医学部, 講師 (40403836) [辞退]
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90622027)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | X線 / CT / 肝臓 / 線維化 |
研究実績の概要 |
(1)生検にて組織学的に肝線維化が評価されたウイルス性慢性肝炎・肝硬変を有する臨床患者に対して,DECTによる造影ダイナミックCT撮像を行いデータ収集を行なった。慢性肝炎(組織学的な線維化スコアF0-3),肝硬変(F4)患者それぞれ30 名(計60名)を目標としたが、集積終了した。 (2)CT撮像は通常の臨床で行われる撮像方法に従い,各相でのヨード密度画像を作成し,ヨード密度をROIにて測定する.そのデータをもとに,肝線維化と関連のあるパラメーターを探索する.現在のところ、以下のようにヨード停滞率(residual ratio)が良好なパラメーターである可能性が分かっている。 検討方法:線維化スコアF0からF4までの各群と肝実質のヨード[水]密度を比較検討した。結果:単純、門脈相、平衡相での肝実質のヨード[水]密度を順にIn、Ip、Ieとすると、(Ie-In)-(Ip-In)=Ie-Ip(門脈相から平衡相の密度の傾き)は、F0, -9.4±2.0; F1, -10.2±1.6; F2, -8.4±1.7; F3, -7.5±2.8; F4, -3.9±3.5であり、Ie-Ipと線維化スコアとの間に有意な相関がみられた(r=0.699, p<0.001)。また、cutoffを-4.0にした場合のF0-3とF4の弁別の感度は80%、特異度 は93.9%であった。この結果の学会、論文発表を行った。 症例追加を行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響で集積が遅延している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
施設倫理委員会の承認申請手続きに時間がかかっていたが承認された。 追加症例集積に時間がかかっており、新型コロナウイルス感染症の影響で集積が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
R3年度:追加症例集積が終了したのち至適カットオフ値算出による肝線維化診断の妥当性の検証を行う。CT撮影を行ったウイルス性慢性肝炎・肝硬変を有する臨床患者から得られたデータの解析を行う.ヨード停滞率(residual ratio)を組織学的な肝線維化スコアと比較し,各スコアを有意に分別できる至適カットオフ値をROC解析にて算出し感度・特異度を評価することで肝線維化の診断方法としての妥当性を検証する.また,組織検体から得られた他のスコア(脂肪化,炎症細胞浸潤,風船様変性)とヨード密度を用いたパラメーター値との関連を多変量解析(重回帰分析)にて評価を行う.当初の計画と異なり,停滞率を含むヨード密度を用いたパラメーター値が肝線維化の評価に寄与しなかった時に備え,ウイルス性慢性肝炎・肝硬変における組織学的肝線維化スコアを評価可能な下記の検査方法との比較検討も同時に行う.①生化学的指標:ヒアルロン酸,Aspartate aminotransferase to platelet ratio index (APRI),FIB-4 index③超音波硬度画像:Fibroscan,SWE,RTE いずれも当施設に有し測定可能
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大によって、予定通りの追加症例数が集積できなかったため、次年度使用額が生じた。 R3年度:追加症例集積が終了したのち至適カットオフ値算出による肝線維化診断の妥当性の検証を行う予定である。
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