研究実績の概要 |
(1)生検にて組織学的に肝線維化が評価されたウイルス性慢性肝炎・肝硬変を有する臨床患者に対して,DECTによる造影ダイナミックCT撮像を行いデータ収集 を行なった。慢性肝炎(組織学的な線維化スコアF0-3),肝硬変(F4)患者それぞれ30 名(計60名)を目標としたが、集積終了した。(2)CT撮像は通常の臨床で行われる撮像方法に従い,各相でのヨード密度画像を作成し,ヨード密度をROIにて測定する.そのデータをもとに,肝線維化と関連のあるパラメーターを探索する.現在のところ、以下のようにヨード停滞率(residual ratio)が良好なパラメーターである可能性が分かっている。 検討方法:線維化スコアF0からF4までの各群と肝実質のヨード[水]密度を比較検討した。結果:単純、門脈相、平衡相での肝実質のヨード[水]密度を順にIn、Ip、Ieとすると、(Ie-In)-(Ip-In)=Ie-Ip(門脈相から平衡相の密度の傾き)は、F0, -9.4±2.0; F1,-10.2±1.6; F2, -8.4±1.7; F3, -7.5±2.8; F4, -3.9±3.5であり、Ie-Ipと線維化スコアとの間に有意な相関がみられた(r=0.699, p<0.001)。また、cutoffを-4.0にした場合のF0-3とF4の弁別の感度は80%、特異度は93.9%であった。この結果の学会、論文発表を行った。 新型コロナウイルス感染症の影響で新規症例集積が遅延していたが、完了した。
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