研究課題/領域番号 |
17K10469
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
吉本 由哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80594390)
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研究分担者 |
野田 真永 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60396645)
村田 和俊 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (60644557)
佐藤 浩央 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90750571)
尾池 貴洋 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (10643471)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子宮頸癌 / 抗腫瘍免疫 / 放射線治療 / 分子標的薬 / precision medicine / 変異解析 |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、放射線治療により誘導される抗腫瘍免疫が、がん治療における重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。本研究課題ではさらに、抗腫瘍免疫を積極的に利用して治療効果を増強する、“免疫放射線療法”を開発するための基礎的検討を行った。 当施設では、多数の進行子宮頸癌放射線治療を行っており、均質かつ高精度な臨床情報を有する患者コホートを有している。治療前生検組織の免疫染色により、腫瘍組織へのリンパ球の浸潤数や、PD-L1分子の発現量など免疫学的特性(免疫Signature)と予後の相関を検討したところ、腫瘍組織に浸潤するCD3+リンパ球、CD8+リンパ球の多寡が予後と相関することを見出し、これらのパラメータにより免疫放射線治療の適応判断を行える可能性が示された。 一方で、免疫染色では検討できる分子の数に限りがあることより、試料由来のDNAを用いた変異解析を行い、放射線治療応答性に関与する因子のより高次的な解明を追加した。免疫signatureと、それに影響を与える、ドライバー変異など体細胞変異との関連が明らかとなれば、これは全く新しい知見となる。患者コホートより106例を選定し、409癌関連遺伝子のターゲットシーケンスにより変異遺伝子を同定した。日本人コホートを対象とした子宮頸癌の網羅的遺伝子変異解析は本研究が初であるが、欧米人、アジア人を対象とした報告と同様に、PIK3CAやFBXW7、ARID1Aの変異が高頻度に認められた。一方で大変興味深いことに、FGFRなどレセプターキナーゼ遺伝子の変異を30%程度認め、これらの症例では治療反応性、予後共に不良であることを新規に見出した。子宮頸癌は抗がん剤に対する奏効率が低く、一方で、レセプターキナーゼ遺伝子に対する分子標的薬剤は既に他がんで臨床応用されているために、医師主導治験などでで速やかに臨床導入出来る可能性がある。
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