我々は血清中抗HER2自己抗体の濃度が高い早期乳癌症例の予後が良好であることを見出し既に報告している。本研究ではHER2自己抗体が高値の乳癌腫瘍における免疫学的微小環境を検討した。抗HER2自己抗体値の高値群33例および低値群20例を研究対象とした。抗HER2自己抗体高値群は低値群よりも有意に予後良好であった。高値群は低値群よりも腫瘍浸潤B細胞、形質細胞、CXCL13陽性リンパ球が有意に多く、腋窩リンパ節における濾胞性CD4陽性リンパ球も有意に多かった。以上より、抗HER2自己抗体が高値の乳癌腫瘍微小環境において、液性免疫系が活性化されていることが示唆された。
|