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2019 年度 実績報告書

KPCLマウス用いた免疫細胞誘導性PSC基質リモデリングの解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K10700
研究機関九州大学

研究代表者

鬼丸 学  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80529876)

研究分担者 三好 圭  九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
寅田 信博  九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
大内田 研宙  九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード膵癌 / 膵星細胞 / リモデリング / 癌微小環境
研究実績の概要

膵癌組織に豊富に存在する細胞外マトリックスのリモデリングといった癌微小環境における物理的な構造変化が癌浸潤や転移に関わることが知られている。本研究では膵星細胞や免疫細胞など微小環境構成細胞に着目して、基質リモデリングのメカニズムの解析を行い新たな治療法の創出を目的とする。
本年度は、膵癌細胞の間質や周囲組織への浸潤の具体的な様式について着目した。p-ERK1/2(リン酸化細胞外シグナル調節キナーゼ 1/2)は、癌細胞や正常な膵星細胞と比較して、癌関連の膵星細胞で強く発現を認めることを免疫染色で示し、ERK1/2の抑制は高転移性膵癌細胞の上皮間葉転換を抑制し、細胞老化マーカーを上方制御し、癌関連膵星細胞のオートファジーを活性化すること、癌間質の相互作用を抑制し、癌細胞の浸潤性と生存率を高めることを明らかにした。さらに、オートファジー阻害剤であるクロロキンが、PSC細胞の老化を促進して、細胞増殖を大幅に減少させることも示した。以上より癌関連膵星細胞におけるERK1/2阻害が、癌間質相互作用を抑制して転移を抑制することを明らかにし、原著論文として発表した。
また、膵癌細胞からのスフェロイドがリンパ管内皮に単層環状欠陥を引き起こし、培養癌細胞上清はそれを増強することや、培養癌細胞上清でリンパ管内皮細胞を処理するとS100P(S100カルシウム結合タンパクP)が大幅に発現上昇し、S100P拮抗薬を投与するとリンパ管内皮細胞の遊走と単層環状欠陥形成の著明に抑制できることを明らかにした。以上より膵癌からのスフェロイドが引き起こすリンパ管内皮単層環状欠陥は、S100Pによって部分的に調節されていることが示され、S100Pがリンパ管を含む微小環境リモデリングに関与していることが明らかとなり、リンパ節転移を阻害する有望な標的となりえると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Inhibition of ERK1/2 in cancer-associated pancreatic stellate cells suppresses cancer-stromal interaction and metastasis.2019

    • 著者名/発表者名
      Yan Z, Ohuchida K, Fei S, Zheng B, Guan W, Feng H, Kibe S, Ando Y, Koikawa K, Abe T, Iwamoto C, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Mizumoto K, Hashizume M, Nakamura M
    • 雑誌名

      J Exp Clin Cancer Res

      巻: 381 ページ: 221

    • DOI

      10.1186/s13046-019-1226-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] S100P regulates the collective invasion of pancreatic cancer cells into the lymphatic endothelial monolayer2019

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Hiromichi、Ohuchida Kenoki、Yonenaga Akiko、Sagara Akiko、Ando Yohei、Kibe Shin、Takesue Shin、Abe Toshiya、Endo Sho、Koikawa Kazuhiro、Okumura Takashi、Shido Koji、Miyoshi Kei、Nakata Kohei、Moriyama Taiki、Miyasaka Yoshihiro、Inoue Shigetaka、Ohtsuka Takao、Mizumoto Kazuhiro、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      International Journal of Oncology

      巻: 55 ページ: 211~222

    • DOI

      10.3892/ijo.2019.4812

    • 査読あり
  • [学会発表] 膵癌リンパ節転移におけるcollective cell invasion 制御因子の検討2019

    • 著者名/発表者名
      中山宏道、大内田研宙、安藤陽平、岐部晋、武居晋、進藤幸治、森山大樹、仲田興平、大塚隆生、中村雅史
    • 学会等名
      第74回日本消化器外科学会総会
  • [学会発表] S100Pが癌細胞塊のリンパ管内皮層へのクリアランスに関与しリンパ節転移に関わる2019

    • 著者名/発表者名
      中山宏道、大内田研宙、相良亜希子、米永晃子、安藤陽平、岐部晋、武居晋、進藤幸治、仲田興平、森山大樹、宮坂義浩、藤田逸人、永井俊太郎、岡部安博、大塚隆生、水元一博、中村雅史
    • 学会等名
      第119回日本外科学会定期学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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