研究課題
細胞自己凝集現象(スフェロイド形成)やスフェロイド融合現象を利用し、任意の3次元組織を構築する技術を開発してきた。本研究では、ヒト人工多能性幹(iPS)細胞由来の心筋細胞にヒトiPS細胞由来の神経細胞や血管内皮細胞を配合することにより、心筋細胞からできた細胞凝集体(スフェロイド)の機能を向上させることを目的とする。心筋細胞と神経前駆細胞の混合spheroidを作成し、神経前駆細胞が拍動に有利に働くことを確認し、混合型心筋スフェロイドの組織学的評価において、Troponin Tに加え、Nestin、β3tubulin、Neurofilament Medium chain、Synapsin1陽性細胞などを確認できた。またドーパミン産生細胞を混合した心spheroidと線維芽細胞と内皮細胞を混合した心筋spheroidや100%心筋spheroidにおいて、細胞内cAMP量をPCRを用いて相対的評価を行った。ドーパミン産生細胞を混合した心筋spheroidは他のspheroidに比べて細胞内cAMP量が相対的に多い傾向が認められ、ドーパミン作用の影響が考えられた。またiPS細胞由来血管内皮細胞を混合した心筋スフェロイドの成熟過程で血管新生促進、血管内皮増殖因子(VEGF)の産生分泌促進や神経保護作用をもつ合成化合物を用いることで、cAMP量の上昇と共に混合型心筋スフェロイドの収縮率や拍動回数の上昇を確認した。血管網、神経網が構築されたより高機能化したiPS細胞由来混合型心筋スフェロイドの作製を目指す上で貴重な成果と考える。
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PLOS ONE
巻: 14 ページ: e0213114
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0213114
Nature Communications
巻: 10 ページ: 2240
https://doi.org/10.1038/s41467-019-10107-1