研究課題/領域番号 |
17K10748
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
赤木 大輔 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (20464753)
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研究分担者 |
山本 晃太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00753542)
保科 克行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90571761)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / 抗炎症脂質 / 内膜肥厚 |
研究実績の概要 |
1)ナノ粒子の物性特性を検討し、In vitroでの抗炎症効果の判定を行った。動的/静的光散乱法による粒径の検討、血中や漿液中での安定性の検討が行われた。平滑筋細胞との相互作用の検討も施行した。ナノ粒子の挙動はほぼ予想通りであるが、収率が予想よりあまり高くないことが問題となっている。合成経路の再検討も行い、抗炎症脂質のカルボン酸とポリエチレングリコール化のためのエステル結合以外の反応経路の検討も行なった。これにてやや収率の上昇をみた。 ナノ粒子の基礎的検討、構造のブラッシュアップは引き続き行っていく。 2)ラットバルーン傷害内膜肥厚モデル作成を行い、病理学的検討や抗炎症脂質そのもののin vivoでの作用を検討した。とくにレゾルビンD2以外の抗炎症脂質(プロテクチンD1など)についても検討を進めた。やはりレゾルビンD2の内膜肥厚抑制作用は強いが、ナノ粒子としても有用かどうかは今後の課題となった。また他の炎症性脂質の活用も検討の余地があることが考えられた。本検討はコントロール実験として有用で基礎データが整理された。 3) ナノ粒子の血中滞留性、安定性、効果発現、内膜肥厚血管における分布を検討した。これは、内膜肥厚モデル以外のラット動物実験モデル(ラット下肢動脈閉塞モデル)で検討された。このモデルは急性炎症をベースとするもので内膜肥厚モデルと一致するものである。必ずしも粒子サイズ100nmよりもやや小さい60-80nm のものが病変部位に滞留することもあり、これは新たな知見となった。内膜肥厚モデルによるIn vivo実験は引き続き進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発されたナノ粒子が、予想通りの収率を示していないことから一定量のナノ粒子を安定的に得ることが時として困難なことがあった。このため、工学系研究科と共同の開発段階に戻ることがあり、動物実験にも進みにくい現状があったためと考える。
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今後の研究の推進方策 |
抗炎症脂質に関する検討は引き続き行い、本年度に得られた知見を元次年度は最終年度となるため、システム構築まで進めていく。それとともに抗炎症物質(核酸等も含め)にナノ粒子化を行う対象を広げ、新たなDDS/治療システム開発を推進する。
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