本研究では肺がん組織だけでなく同じく気道組織であるが容易に採取可能な口腔粘膜を用い、がん発生の主たるメカニズムであるエピジェネティックス異常の網羅的解析を行い、肺がん発生高リスク群を低リスクで効率的に選定するバイオマカーの確立を目指すことを目的とした。 口腔粘膜を用いた解析として、HOXD11とPCDHGB6のメチル化が肺がん患者において非癌患者より効率で検出されるとする論文が、2019年にAsian Cardiovascular and Thoracic Annalsにpublishされた。また本研究を通して肺がん患者の口腔粘膜で多くメチル化異常を認めた5遺伝子ついて、症例数を増やした解析についてAsia Pacific Society of Respirology 2018 でoral presentationを、さらに2019年度の日本呼吸器外科学会総会で口演発表を行い、現在論文作成中である。 肺がん組織を用いた研究においては MDFIのメチル化が、予後に関連する分子生物学的マーカーとなりうることを学会報告しており、論文を作成し現在投稿中であるがまだacceptには至っていない。さらに、環境因子とエピジェネティクス異常についての解析として、酸化ストレスと血清のSIM-1遺伝子メチル化異常の関連について、2018年度 Asia Pacific Societyof Respirologyでポスター発表した。 肺癌の原発病巣と転移病巣におけるエピジェネティックス異常に関するheterogeneityについて解析をおこったが、その結果を2019年度 Asia Pacific Societyof Respirologyおよび2019年度 日本肺癌学会総会で発表した。
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