「末梢神経損傷によって脊髄後角細胞の興奮性が増強している」という仮説を検証するために、L5レベルで左右両方の後根を付した脊髄スライスを作成し、両側の後根を同時に電気刺激して後角細胞に誘発される細胞内Ca2+変動を記録した。 末梢神経損傷モデルはSpared Nerve Injuryモデルを用いた。正常側では後根刺激による細胞内Ca2+上昇は変化率1.5~2.5%で記録することができた。しかし、正常側と比べて神経損傷側の反応はすべてのスライスで減少していることが判明した。「末梢神経損傷により脊髄後角細胞の興奮性が増強して神経障害性疼痛がおこる」という考え方が必ずしも正しくないことが明らかになった。
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