研究課題
申請課題の目的は、<mTOR阻害剤耐性の腎細胞癌における癌幹細胞の意義を調べ、新たな治療戦略を構築すること>、である。そのため、以下の3項目を具体的 な目標と研究を行った。1腎細胞癌のmTOR阻害剤耐性における癌幹細胞の役割を確認する。2癌幹細胞で重要な役割を果たし、かつ治療標的となりうる分子をin vitroおよびin vivo解析系で絞り込む。3上記の治療標的分子をターゲットとする薬剤および既知の癌幹細胞関連薬の効果を検討し、臨床応用につながる知見を える。 実際には目的を達成するため、広く腎細胞癌(RCC)に関連する研究に研究費を用いた。内容は以下。1RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究。2 RCCにおける薬物療法の最適化。3RCCの後方視的臨床研究。それぞれについて実績の概要を記載する。 1RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究:3つの基礎的研究を行っている。1)mTOR阻害薬耐性RCCにおける癌幹細胞の意義に関する研究、2)腎細胞癌 の腫瘍微小環境における脂肪由来幹細胞の働きの解明と新たな治療戦略の開発、3)RCCにおける癌幹細胞のコネキシンによる制御機構の解明。2)および3)は研究が進んでおり、来年度の発表が可能な見通しである。 2RCCにおける薬物療法の最適化:2020年5月発売の新規分子標的薬であるカボザンチニブの薬物動態に関する研究を開始した。3RCCの後方視的臨床研究:研究代表者が筆頭著者で2編、共同著者で3編の英語論文を発表した。現在、筆頭著者で2編が投稿中である。また、多施設共同研究として10以上の研究が進行中である。
3: やや遅れている
1.申請課題にとどまらず、広く腎細胞癌(RCC)に関連する研究を行い相応の成果をえているが、申請課題に関してはやや進捗が遅れており、基金の繰越をお願いした。 1RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究:4つの基礎的研究を行っている。1)mTOR阻害薬耐性RCCにおける癌幹細胞の意義に関する研究、2)腎細胞癌 の腫瘍微小環境における脂肪由来幹細胞の働きの解明と新たな治療戦略の開発、3)RCCにおける癌幹細胞のコネキシンによる制御機構の解明、4) 腎細胞がん患者における生殖細胞系列遺伝子変異の探索と生物学的意義の検討。1)は申請者、2) 、3)および4)は大学院生か主に研究を行い、申請者が指導している。成果はヨーロッパ泌尿器科学会で発表した。Numakura, et al.(2019) Clinical implications of pharmacokinetics of sunitinib malate and N-desethyl-sunitinib plasma concentrations for treatment outcome in metastatic renal cell carcinoma patients. RCCの後方視的臨床研究:研究代表者が筆頭著者で3編の英語論文を発表した。1) Numakura K, Cancer Biol Ther. 2020 in press、2)Numakura K, Int Cancer Conf J. 2020 in press、3)Numakura K, Int J Clin Oncol. 2020 Epub ahead of print。また多施設共同研究として10以上の研究が進行中である。
癌幹細胞以外にも、mTOR阻害剤耐性RCCでミトコンドリアの呼吸予備能が増加する現象を見出している(unpublished data)。mTOR経路とミトコンドリア の関係は、ほとんど調べられておらず、本研究に負けず劣らず興味深いテーマであり、新たな生命現象を明らかにできる可能性がある。また、現在、腎細胞癌の臨床例で多くの研究を行っており、成果を発表していく予定である。
臨床検体を用いた検証実験を計画し予算を計上していたが、in vitroでの実験が終了しなかったため、検証実験を行うことができなかった。また、そのため学会発表や英語論文執筆、それに伴う校正費も使用できなかった。次年度に残りの研究を遂行する計画とした。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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