研究実績の概要 |
VHL遺伝子異常をもつ、4つのRCC細胞株(786-O, A-498, 769-PおよびUMRC-3)でエベロリムス(EVE)のIC50を調べた。EVEに対する感受性を有する、786-OとA-498をEVE存在下で継代培養し、EVEに対して耐性をもつ耐性株(786-O EST)を樹立し、親株(786-O PAR)と比較した。ALDH活性は、ALDEFULORキットを用いてフローサイトメターで測定した。 ALDHの活性は、継代ともに増加していった。786-O PARと比較して786-O ESTは有意にEVEに対して耐性であり(IC50: 9.9uM vs. 5.6nM)、癌幹細胞の特性を示すtumor sphere の形成能を獲得した(45.8 vs 6.3, p < 0.001)。また、786-O ESTは放射線に対する交差耐性を認めた(area % of colony at 4Gy RTx: 3.02% vs 0.55%, p = 0.01)。細胞周期を調べると、786-O ESTでG0/G1期の割合が増加していた(53.4% vs 42.0%, p =0.04)。ALDH陽性の細胞数は著名に増加しており(28.1% vs 0.3%, p < 0.001)、ALDHの特異的阻害剤であるdisulfiramの投与により、細胞分裂能は著名に抑制された。 mTORi耐性RCCにおいて癌幹細胞特性が有意に亢進していることが明らかになった。ALDHは癌幹細胞の維持する上で重要な役割を果たしており、mTORi耐性克服の標的となる可能性がある。
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