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2017 年度 実施状況報告書

革新的腎癌治療法の開発を目指したゲノム編集による癌促進型マイクロRNAの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K11148
研究機関鹿児島大学

研究代表者

井手迫 俊彦  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10642613)

研究分担者 吉野 裕史  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他(移行) (90642611)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードマイクロRNA / CRISPR/Cas9
研究実績の概要

この研究の目的は、これまでに殆ど研究が進んでいなかった癌促進型マイクロRNAの機能解析と標的遺伝子探索をCRISPR/Cas9と呼ばれる第3世代のゲノム編集技術を用いて行うことである。本研究では、次世代シークエンサーによる腎癌や膀胱癌といった泌尿器癌で発現が亢進しているマイクロRNA発現プロファイルから、増殖/転移に関わる癌促進型マイクロRNAを探索して、それらが制御する分子ネットワークの描写を試みる。以上の検討により、癌における癌促進型マイクロRNAが制御する増殖/転移機構の解明を行い、その経路を遮断する既存治療薬の効果を検討する。このような過程を経て現在、治療の選択肢が非常に少ない進行性癌に対して、新たな治療戦略の探索に繋がる知見を得ることを目的とする。
今年度の研究成果として、正常腎と腎癌臨床検体を用いてマイクロRNAのアレイ解析から癌細胞内で十分な発現値を示す最上位のマイクロRNA-210 (miR-210)を見出した。更に、CRISPR/Cas9を用いてmiR-210をノックアウトし、miR-210の発現をほぼ100%抑制することが出来た。miR-210ノックアウト細胞は、異種移植実験においてコントロールに比べて腫瘍が有意に増大した。標的遺伝子探索ではmiR-210がTWIST1を直接制御することが明らかとなった。TCGAによるRNA発現解析ではTWIST1の高発現群は全生存率並びに無病生存期間が有意に低下しており、この遺伝子が腎癌進展におけるドライバー遺伝子として機能していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて癌促進型マイクロRNAの抑制に成功し、更に機能的な解析が進んでいるため。

今後の研究の推進方策

現在、その他の癌促進型マイクロRNAの抑制に取り組んでおり、今後も癌促進型マイクロRNAの遮断の効果を検討する。このような過程を経て現在、治療の選択肢が非常に少ない進行性癌に対して、新たな治療戦略の探索に繋がる知見を得ることを目的とする。

次年度使用額が生じた理由

実験全体は順調に進んでいるが、癌促進型マイクロRNAの選定作業に予想以上の時間がかかり、3カ月程度の遅れを生じており、次年度への繰り越しが必要となったため。
次年度、上半期までに繰り越した実験を終了できる予定であり、繰越金は消耗品の購入に充てられる

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] PHGDH as a Key Enzyme for Serine Biosynthesis in HIF2α-Targeting Therapy for Renal Cell Carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshino H, Nohata N, Miyamoto K, Yonemori M, Sakaguchi T, Sugita S, Itesako T, Kofuji S, Nakagawa M, Dahiya R, Enokida H.
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 77 ページ: 6321-6329

    • DOI

      10.1158/0008-5472

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2018-12-17  

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