研究課題
子宮平滑筋肉腫は多彩な組織像を示すが、形態の違いに基つく治療選択は行われておらず、治療に直結する有効な治療法の開発が、急務となっている。私たち は、 破骨細胞型巨細胞を伴う子宮平滑筋肉腫では、骨の破骨細胞形成に必須のサイトカイン(RANKL)を産生していることを発見し、組織形態の違いから腫瘍の発 生起源 に関わる可能性を解明し、治療ターゲットとなり得る因子を同定することを目的に研究を行った。腫瘍の骨芽細胞分化について検討を進めたところ、腫 瘍細胞に骨芽細胞化を誘導する転写因子RUNX2の高発現を認めた。 RUNX2は近年前立腺癌や腎癌、肺癌において予後不良因子としての報告がみられる。RUNX2と RANKLの発現局在の検討から、腫瘍細胞の多くはRUNX2を発現し、その 一部が、RANKLを発現していることが明らかとなった。前年度では、これらの現象が、子宮平滑筋肉腫に固有の現象なのか、それとも全身臓器で起こりえる変化である のかという発想の元、骨化が見られる腫瘍、脱分化を示す腫瘍群として、乳癌、肺癌、腎癌、甲状腺癌、Solitary fibrous tumorと破骨細胞が多数見られる骨巨 細胞腫を集め、RUNX2, RANKL, NFATc1, CathepsinKの発現について検討を行い、同様の結果を得られた。当該年度では、腎癌の肉腫様癌および肺がんにおいて、破骨細胞を伴っていない症例においても、RUNX2の高い発現がみらることを発見した。また、癌周囲反応性間質にRUNX2の発現がみられ、骨芽細胞分化は肉腫のみならず、上皮悪性腫瘍である「がん」や「がん関連線維芽細胞」にも見られることが明らかとなった。
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