研究課題
本研究では、癌の浸潤・転移過程における腫瘍微小環境変化、すなわち上皮間葉転換、基底膜細胞外マトリックス(ECM)分解、腫瘍血管形成を統合的に評価できる新規薬剤スクリーニング系を開発することを目的とする。特に、癌の浸潤・転移過程において高発現する遺伝子のプロモーター活性を指標とし、癌細胞機能評価系を構築し、新規薬剤スクリーニングシステムの開発を行ってきた。また、既存薬化合物ライブラリーから有効な癌治療薬を再開発することにより、既存薬再配置を目指した。これまでに、基底膜細胞外マトリックス分解に寄与するMMP9のプロモーター活性調節機構に着目し、MMP9を高発現する肺転移性マウス大腸癌由来LuM1細胞を用いて、MMP9のプロモーター誘導性蛍光レポーター(m9promo)細胞を構築した。さらに、m9promo細胞を三次元腫瘍オルガノイドモニタリングに応用し、癌幹細胞性とMMP9レポーター活性が同時に評価可能な薬物評価系を確立し報告した(Sogawa C. et al., Tissue Engineering Part A, 25(19-20):1413-142, 2019)。さらに、既存薬スクリーニング゛の結果、これまでに、いくつかの癌転移抑制薬候補を見出しており、中でもヒット化合物の1つは,in vitro三次元腫瘍オルガノイド゛形成・生存率・遊走・浸潤を抑制し、マウスへの癌細胞同種移植モデルにおいても腫瘍形成,肺転移抑制を確認している。さらに、癌抑制分子機構として、β-カテニン不安定化、NF-κB及びSTAT3のリン酸化抑制によるMMP9発現抑制ならびに癌幹細胞マーカーCD326発現抑制が確認された (Sogawa C et al., Cancers (Basel), 12 (2): 523, 2020)。
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