研究課題/領域番号 |
17K11910
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高石 和美 徳島大学, 病院, 講師 (20325286)
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研究分担者 |
北畑 洋 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60161486)
川人 伸次 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (60284296)
木下 浩之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 専門研究員 (70291490)
工藤 保誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (50314753)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血管反応性 / 歯周炎 / ラット |
研究実績の概要 |
Wister系ラット8週を使用し初期の歯周病モデルラットを作成した。具体的には、ラットを吸入麻酔薬(3%イソフルラン)で全身麻酔後、両側第一臼歯頬側歯肉へlipopolysaccharide (LPS)を750μg(計1500μg)、および腹腔内へ150μgを1週間に1回の頻度で4回投与した(LPS群)。コントロール群では、生理食塩水を両側第一臼歯頬側および腹腔内へ投与した。4回目の投与から1週間後にラット顎骨を摘出した。固定染色したラット顎骨の歯周組織の炎症について病理組織学的に検討した。その結果、LPS群ラットの歯周組織では病理組織学的に軽度の炎症を認めた。次に、同様の手法で、2回または3回LPS投与後1週間経過したラットの顎骨を摘出し病理組織学的に検討した。歯周組織の炎症は、3回LPSを投与した群では、2回LPSを投与した群と比較し強い炎症が認められた。そのため本研究においては3回LPS投与後1週間経過したラットを歯周炎モデルラットとして使用することとした。 さらに、歯周炎モデルラットおよび対照ラットに加えて、8週齢ラットを使用しスタチン群ラットを作成した。スタチン群では、LPS投与に加えて腹腔内へ5mg/kgのPravastatinを投与した。生理食塩水、LPS、あるいはスタチン投与を1週間に1回の頻度で3週間行った。その1週間後に、イソフルラン3%を使用して麻酔を行い十分な麻酔深度を得た後、ラット大動脈を摘出した。ラット大動脈から作成した血管標本を使用し、フェニレフリン(300 nM)で収縮後に得られるアセチルコリン(1 nM-10 μM)による内皮依存性血管弛緩反応について、対照ラットとモデルラット(LPS群)およびスタチン群で比較検討した。その結果、LPS群では対照群と比較し血管反応性が低下し、スタチン群ではLPS投与による血管反応性の低下が減弱する傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯周炎モデルラット作成について当初は安定した作成が困難であったため、モデルラット作成の手技に関する予備実験や文献的検索を要した。そのため研究の遂行に多少の遅れが生じていた。現在ではLPS投与回数を3回にするなどの改定を加え、手技的にも安定した歯周炎モデルラット作成が可能となっており、体血管内皮機能測定に関連した機器の調整と手技獲得は比較的順調にすすんでいる。モデルラットおよびスタチン群ラットを使用して体血管内皮機能に関する対照群との比較検討をさらにすすめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、モデルラット(LPS群)およびスタチン群ラットの内皮温存大動脈リングを使用し、体血管内皮機能の測定を継続する予定である。結果を対照群と比較し、統計学的検討を行う。次に、スタチン群とLPS群の比較により、有意な差が得られた濃度のスタチンを作用させ、内皮温存大動脈スライス標本の活性酸素種レベルおよびNADPHオキシダーゼ活性の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作成を予定していた間欠的歯周組織炎症モデルラットで安定した歯周組織炎症の誘発が確認できず、歯周病の重症度に応じたモデルラット作成の計画が遅れたため、モデルラットを使用して行う研究に使用する費用が次年度に持ち越されることとなった。そのため、持ち越された費用は次年度に予定している、モデルラットを使用した体血管内皮機能の測定、活性酸素種レベルおよびNADPHオキシゲダーゼ活性の測定にかかる費用とする予定である。
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