研究実績の概要 |
免疫抑制剤であるシクロスポリンは、臓器移植における拒絶反応の抑制やネフローゼ症候群の治療で投与され、治療効果が高い反面、その副作用に悩まされるケースが多い。 本研究は、シクロスポリンを服用する小児において、その副作用である薬物性歯肉増殖症の発症メカニズムを解明するため、対象となる患者のプラーク細菌を微生物学的に解析することとした。そのため、小児被験者から採取したプラーク細菌を同定する方法を確立することを目的とし、研究を行った。 同意の得られた4-12歳の被験者(CsA-G群:シクロスポリンを服用し歯肉増殖を有する者、CON-NG群:薬物を服用しておらず歯肉増殖のみられない者)のプラークを採取し、7種の口腔常在菌のプライマーを用いてPCR法にて細菌の検索を行った。 その結果、CON群(n=6)では、Streptococcus mutans, S. gordonii, S. mitis, S. sanguinis, Porphilononas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Prevotella intermedia がそれぞれ4, 6, 3, 4, 6, 6, 5名検出された。CsA群(n=1)では、S. mutans, S. gordonii, S. oralis, S. sanguinis, P. gingivalis, A. actinomycetemcomitans,が検出されたが、P. intermediaは検出されなかった。 本研究では、小児被験者から採取したプラーク細菌を、PCRにより同定する方法を確立できた。
|