研究課題/領域番号 |
17K12085
|
研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
木森 佳子 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30571476)
|
研究分担者 |
丸岡 直子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10336597)
中山 和也 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80242543)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 末梢静脈穿刺 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は危険性の高い末梢静脈穿刺を安全・確実に実施する為に、目視困難な深層静脈を可視化する技術を開発、臨床評価することである。平成29年度の計画は、静脈を可視化する試作機の作成に向け最適な近赤外光光波長を特定する基礎的な実験をした。我々のこれまでの実験といくつかの既存機器から関心領域は概ねわかっているが、実験精度、対象、分析方法は妥当性が十分ではなく明らかでなかった。光波長に依存性を持つ皮膚深達度と静脈ヘモグロビンの光学特性から技術進展を図るためには重要であり、かつ精度の高い実験が必要である。 実験精度は、近赤外光領域に十分な光量を持つハロゲンランプとその領域に感度を持つハイパースペクトルカメラを使用することで向上させた。対象の静脈は、超音波診断装置を使用して血管径、深さを計測した目視困難静脈を用いた。分析は関心領域の光波長帯の静脈領域と皮膚周囲組織領域の反射率を算出し2領域の差が最も大きい波長帯を選択した。 対象は健常女性の持つ32本の目視困難静脈であった。血管径の中央値は3.3mm(範囲1.7-5.3mm)、深さは4.7mm(範囲3.0-8.6mm)であった。今回の画像分析に耐えられる静脈は15本であった。17本は静脈領域と周囲皮膚領域の区別が不明であった。つまり2領域の差が求められないデータが5半数以上を占めたということになる。この結果を基に適切な光波長を選択することは妥当とはいえない。撮像から画像分析までのプロセスに問題があると考え、これを中間解析として課題解決を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の研究計画は、最適は光波長帯の選択と最適な偏光角度の特定であった。だが、今回の実験の結果から、最適な光波長を選択できるデータとして疑問が残った。妥当性のないデータからの選択は今後静脈を可視化する試作機を作成していくうえで大きな問題となる。ここで新たに問題を明確化し、原因を追求、実験、分析方法の再検討をしなければならない必要性がでてきた。この再検討のためスーパーバイズを受け、分析方法を再構築している。また撮像方法にも問題があるとわかった。画像分析と撮像方法を改善して再実験を行う必要がでてきたことが、やや遅れているとする理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在検討中である画像分析と撮像方法の課題を解決して平成30年度再実験を行うこととする。これには利用しているハイパースペクトル有料計測サービスを提供してる業者の協力を得ること、さらに綿密な撮像方法論の確立、対象者の確保を基に実験計画を再立案して行う。今年度はこれに取り組むが最終年度の目標を達成する見込みはあると考えている。今年度後半は試作機を作成するための材料、アートワークする業者も検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度計画、実施した基礎実験は中間解析の時点で我々の仮説と異なった。この時点で実験方法、分析方法を修正する必要性がでてきた。本実験で重要となる要素は対象となる目視困難静脈の妥当性、実験材料の精度、撮像方法、画像分析方法があげられるが特に撮像方法と画像分析方法に問題があると考えている。この問題を解決、修正し再実験に取り組む。再実験は対象者の都合により次年度となるため次年度の使用額が生じることとなった。
|