研究課題/領域番号 |
17K12170
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
志田 京子 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (20581763)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 倫理的成熟 / シミュレーションプログラム |
研究実績の概要 |
1.倫理的成熟に向けての教育プログラムの開発 (1)認知症を持つ患者がせん妄を発症した場面に遭遇した場面において、看護師としてどのように対応するかを模擬患者を用いたシミュレーション教育プログラムをさらに精錬した。(2)精錬したプログラムを第一回、第二回とそれぞれ10名ほどのグループに対し実施しした。(第一回 平成31年4月、第二回 令和元年9月)(3)シミュレーション実施後、倫理的配慮に関する気づきや、配慮のもとで実施する行動に焦点をあてたデブリーフィングを行った。 (4)第一回、第二回ともに、認知症ケアへの理解度が上昇したかを直後、一か月後、三か月後に評価を行った。(5)(1)から(4)および昨年度の実践プログラムの結果を学会発表した。 2.病院の看護管理者の倫理的苦悩に関する語りの場の提供 (1)300床未満の病院看護管理者10名(有志)を対象に2時間程度のフリーディスカッションを計3回実施した。 (2)大分県立看護科学大学が中心となって実施している「大分県中小規模病院等看護管理者支援事業」に講師として参加し、看護部長約130名を対象に「職場の倫理的風土を高めるための看護管理者の役割」について講演した。 (3)北海道看護協会サードレベル「看護管理者の倫理的意思決定」において、管理者に対する倫理的成熟を高めるための事例検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1については、シミュレーション教育手法を用いて倫理的思考が高まり、行動に向けての論点や課題の整理ができることが示唆された。今年度の課題であった日本とハワイでの倫理的視点の違いについては、感染症拡大の影響で渡米が中止となったため、次年度の課題とする。 2については、看護管理者の倫理的成熟の段階について、個人対患者、管理者対部下、管理者対組織文化という軸で考えていく必要性があることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1については、認知症のせん妄患者のプロセスについて日本と米国の比較を実施し、倫理的視点の違いについて探求していく。 2については、大分県立看護科学大学が実施している看護管理者支援事業と大学院教育において検証を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、2020年3月に実施予定であったハワイ大学の研究協力者との会議が中止となった。今年度は最終年度となるが、実施できなかった会議を実施し、さらにプログラムのブラッシュアップを検討していく。しかし、同様の状況がしばらく継続するであろうと考えられプログラム実施が難しいことから、研究期間を1年延長することも考慮していく必要があると思われる。
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