本研究は、がん薬物療法を受ける患者が経験する副作用情報をInformation Communication Technologyを活用し、Patient Reported Outcome(PRO)として集積するシステムの開発を目的とした。 本研究成果として、がん薬物療法を受ける患者からPROを収集可能とするシステムをWEBベースで開発した。このシステムは、収集したデータをクラウドサーバー上に保存するため、利用者は、識別番号(8桁)とパスワードにより使用デバイスに左右されず活用でき、同時に管理者(研究者/医療者)が入力されたPROを確認できるものである。多くの対象者が活用できるよう、2020年3月時点では、73療法、66項目の副作用を登録している。 このシステムの主なメリットとして、利用者(患者)は、①各副作用のGrade変化をグラフ化して状況を一目できる、②医療者への報告Gradeの事前指導を受けることで早期対処に繋げられる、③自身の各副作用の傾向から次コース以降の予防策に活用することができる、が挙げられ、管理者(研究者/医療者)は、①各患者のPROから介入(受診の要請、状態の確認など)の必要性の判断材料にできる、②PROを蓄積し各療法で副作用の発現率/時期などを集計することにより今後治療を受ける患者への事前の情報提供および介入時期予測ができる、が挙げられる。 本研究成果は、COVID-19感染拡大に伴い、所属施設からの学会参加自粛要請や学会中止により、抄録集のみでの発表という形式となったが、国内学会(第34回がん看護学会学術集会)および国際学会(The 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Science)での発表を実施した。
|