研究課題
本研究は、医療と介護の脆弱な地域(小離島)において、これまでの研究成果から、地域の生活文化を基盤に住民の主体性(自助)の発揮と相互扶助(互助)の活性化を手がかりとして高齢者ケアの創出を試み、そのプロセス評価することであった。高齢者ケアは、研究期間中に、住民の主体性によって6つであった。①重介護で島に戻れない要介護高齢者の島外入所施設に訪問し、三線で島の歌の披露などの「ふるさと」を届ける「逆ふるさと訪問」、②介入によって誕生した島唯一のNPO法人主催の祭りを企画から実施評価まで学校教職員、児童生徒、青年会、婦人会、など島全体で行う祭り「すむづれ祭り」、③幼稚園児、小中学生、高齢者など対象に合わせて生活文化を題材に全島民へのオリジナルな「島丸ごと認知症サポーター養成講座」、④吸引・腹膜透析など要介護高齢者のケアの必要性に合わせて、看護師が介護職等への技術力アップ講座「島で死にたい」を支える活動、⑤婦人たちによる「花壇づくりで高齢者見守り活動」、⑥認知症高齢者に就労の機会をつくり雇用につなげる「要介護高齢者の就労支援活動」であった。これらの地域ケアは、島外の専門職や行政職は介在せず、住民と島の専門職が、必要に応じて自主的、主体的に協働して地域ケアを創造し、相互扶助(互助)を活性化させていた。そのプロセスは、高齢者のニーズを中心に据え、地域特性を活かし、伝統行事や地域共同体の持つつながり(地域の生活文化)で高齢者ケアを創り、「すむづれ祭り」で、地域人々に喜びをもたらし、つながりに磨きをかけていた。すむづれ祭りは、研究者を含む島内外の関係者をも結集させ、楽しみ、我がごと、丸ごとの高齢者ケアを確かめあい評価する機会になっていると考えられた。
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日本ルーラルナーシング学会誌
巻: 18 ページ: 79-89