研究課題/領域番号 |
17K12539
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
吉川 未桜 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (40341523)
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研究分担者 |
田中 美樹 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (60405561)
吉田 麻美 福岡県立大学, 看護学部, 助手 (10808926) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児 / 先天性心疾患 / 子育て支援 |
研究実績の概要 |
先天性心疾患児の胎児期・診断期から入院加療期・家庭内保育期および就園期に向けた子育て支援を文献から整理・検討した。 看護職の支援は、胎児診断時期の動揺や混乱・否認への情緒的な支援に始まり、病状や治療・将来など不安に応える正確な情報提供、母乳分泌促進・継続、哺乳瓶からの哺乳、啼泣時の対応やケア参加の促しなど、出生後の母子相互作用による愛着形成・親子関係確立の支援が実施されており、退院(家庭内保育の開始)に向け、疾患を受容し親が子育ての主体となり疾患特有の症状を発見し早期受診できる支援、相談場所の確保、療育支援、服薬指導、口腔ケア、予防接種、在宅酸素、経管栄養、摂食嚥下の機能獲得への支援、外出支援、きょうだい児や祖父母への支援等多岐に渡る支援を実施している。医療身体的なケアに加え、親が患児の日々の成長・発達を感じられるよう支援されていた。家庭内保育期は、退院後訪問や外来受診時のケアが地域連携とともに継続されているが、保健師の報告は少なく、慢性疾患・発達障害・虐待等の増加や新型コロナによる混乱の影響も考えられた。また、患児・家族にとって重要な社会参加のステップである就園期は、室温など環境、水分や運動など生活上の制限、感染症流行期の対応、服薬の依頼や作用・副作用に伴う注意、体調悪化時の対応、などの情報交換・協議が必要となる。保育所保育指針等でも特別な配慮を要する園児への対応が明記されているが、保育園の看護師配置は1~2割と少なく、アレルギーや発達障害などの子ども達の増加や人員不足・知識不足により、受け入れ困難な園も多いと指摘されていた。乳児院など社会的養護施設の入所も制限が設けられている報告もあった。医療的ケア児に対する訪問看護やデイケア等の活用はでき始めているが、患児が集団生活を経験したり基本的生活習慣の獲得したりなど社会の中で育つ成長・発達支援の場を作る地域連携が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度も教員欠員のまま、引き続きコロナ禍によるオンライン対応や対面の分散実施、臨地実習受け入れ再開に伴う実習施設との様々な調整、方法検討、コロナ対応に伴う学部業務の変更・追加・修正等により業務過多が続いた。様々な業務に翻弄され研究に十分な時間を確保することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
緩和されてきているものの特に看護の演習・実習等においては新型コロナウイルスによる影響で、今後も業務の追加・変更・調整が続くと思われる。コロナ禍に於いては臨床側の困難も大きいため、当初目的とした病院施設側への大規模調査は、残された期間からも十分な検討が難しい状況であると考える。そのため、研究目的の先天性心疾患児における乳幼児の子育て支援として、特に患児家族に焦点を当て、より丁寧に困難や思いから必要な子育て支援を検討することを第一として計画実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍での感染症対応に伴う教育方法の検討・変更・修正や対応等に奔走し、また感染者の急増に伴う臨床の混乱・患児家族の心身の不安などを鑑み研究依頼も難しいと判断したため、臨床や患児家族への研究実施に至らなかった。少しずつ制限緩和が進み始めていることから、負担をおかけしない可能な範囲で患児家族や受け入れ側の保育園等に先天性心疾患児に関わる施設に依頼・調査を実施する。使途は調査に伴う印刷・発送・入力作業等が主となると考えている。
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