研究課題/領域番号 |
17K12646
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
澄田 範奈 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任研究員 (10761356)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルゴリズム / マトロイド / 組合せ最適化 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,線形システムの解ベクトルの中で,ベクトルの非ゼロ要素が組合せ的制約を満たすものを見つける問題を扱う.一般の組合せ的制約を扱うことは計算量理論的に困難であるが,本研究は制約が組合せ最適化理論における重要な構造をもつ場合に着目する.特に制約がマトロイドと呼ばれる構造をもつ場合に,解を見つける効率的なアルゴリズムを構築することを目指す. 今年度はマトロイド構造の理解のために,最適マトロイド分割問題と呼ばれる問題に対するアルゴリズム開発も行った.この問題は,組合せ最適化の理論において古くから知られているマトロイド分割問題の自然な一般化である.マトロイド分割問題は簡単に解けることが知られている一方,最適マトロイド分割問題はほとんど未解決であった.本研究では様々な目的関数について,最適マトロイド分割問題の計算複雑度の解析・分類を行った. その他に,組合せ最適化で重要な制約であるナップサック制約をもつ組合せ最適化問題にも取り組んだ.ナップサック制約とは,選んだ要素の重みの和が指定された値(容量)以下になるように要素を選ぶ,というものである.本研究では,容量が未知であるナップサック制約をもつ劣モジュラ関数最大化問題に着目した.劣モジュラ関数最大化問題は組合せ最適化の理論で古くから研究されており,近年では機械学習・人工知能の分野でも応用面から研究されている.また,入力の一部が未知の最適化問題は近年盛んに研究されている.本研究では,容量が未知なときに最悪の状況を出来るだけ良くするための手順を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた研究内容については文献調査が必要であったため進捗が遅れているが,研究の過程で得られた上記の研究成果は査読付き国際会議で発表しており,論文誌への投稿も行っているため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,研究目的であるマトロイド制約をもつ線形システムを中心に研究を進める.着目している問題の構造をより深く調査することにより,計算複雑度の解析や効率的アルゴリズムの開発を行う.また,研究実績で述べたような入力が未知である状況も扱うことを計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
私事都合のため当初計画していた国際会議参加が困難になり,旅費の支出が計画よりも大幅に少なかった.次年度も国際会議参加は難しい見込みだが,国内学会・研究集会等に参加するために旅費を計上する.その他,論文投稿時の英文校正や,研究を円滑に進めるために必要なPC周辺機器や書籍の購入にも使用する予定である.
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