認知機能と脳活動の因果性を示すためには操作的手法が不可欠である。高精細度tDCS-EEGは技術的課題が多く、これまでほとんど行われたことがない。この手法の確立より、電気刺激による局所領域の変調が可能となり、それがもたらす変化を全脳領域で同時に記録することが可能となった。本研究では、前頭眼野の活動を操作的に変調することに成功した。これにより、注意の維持は不要な領野間結合の持続的な抑制によって制御されていることが因果的に示された。このような制御機構は記憶、睡眠時などの積極的な外部入力の抑制が必要な場面でも重要であることから、本研究は高次機能・睡眠障害などの臨床応用に展開するための基盤となりうる。
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