本研究では,複数のセンサで記録したデータの関係を学習することで,あるセンサから取得したデータを別のセンサで得られる相当のデータに変換するシステムを研究開発した.各年の取り組みと成果を以下に記す. (1) 初年度はセンサデータ変換のための基礎研究を目的とし,変換対象のセンサの選定および,センサと深層学習を用いた日常行動の認識の実験を行った.人の行動や心的状態の推定において,アイトラッカで記録した瞳孔径,赤外線サーモグラフィカメラで計測した鼻部皮膚温度,JINS MEMEで記録した眼電位の有効性を示した. (2) 翌年はデータ収集基盤ソフトウェアを開発した.ドイツ人工知能研究センター (DFKI) のImmersive Quantified Learning Lab (iQL-Lab) ならびに大阪府立大学のセンサークラスルームでの様々な実験で使用することで,その安定性と拡張性を確認した.具体的には,視線と皮膚電気活動 (electrodermal activity; EDA) から読書行動中の興味度の推定をする研究,Software-Basedアイトラッキングの視野を拡張する研究などに応用した. (3) 最終年度は記録対象に脳波 (Electroencephalogram; EEG) を加え,読書中の興味度に関連のある脳波の値を視線から推定する研究に取り組んだ.さらに,実世界における読書行動を眼電位計測眼鏡で認識する手法を提案し,データセットと共に公開した.
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