研究課題
若手研究(B)
東京都心部でGPSテレメトリによって追跡されたタヌキの位置データから、緑地を集中的に利用している個体と緑地外もよく利用している個体が確認された。糞ならびに毛に付着したDNAから東京周辺部に生息するタヌキの遺伝構造解析をおこない集団間の移動を評価した結果、都市的土地利用に起因する生息地間のつながりの弱さによって移動が制限されている可能性が考えられた。東京周辺におけるタヌキ集団は高度に分化・隔離されていることが明らかになった。
景観生態学
個体の移動は資源の獲得や分散において重要な役割を果たす。本研究は都市に生息するタヌキを対象にその評価をおこなった結果、遺伝的交流の観点からは都市的土地利用はタヌキの移動を妨げることが示唆された。このような知見は都市に暮らす哺乳類の生態を理解するために重要である。また、このような知見は生態系ネットワーク形成を考慮する際にも活用が期待される。