実験室実験での成果から、対称ナッシュ均衡での予測よりも客の到着が分散して、低い平均待ち時間が実現され得ることが示唆された。この結果等を踏まえた計算機実験(シミュレーション)の結果から、客が参照する情報や学習方法の違いにより、均衡よりも開店時刻への集中が緩和されたり、平均待ち時間が少なくなったりすることがわかった。本研究の成果は、客への情報の提示の仕方を工夫することで、客が自発的に混雑のピークを緩和する行動を取るよう誘導できることを示唆している。これは、サービス窓口に過剰な負担を強いることなく、また客にも行動を強制することなく混雑解消できるシステムの提案につながる点で、大きな社会的意義を持つ。
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