大脳皮質運動領域による高次運動機能制御を検討するため、皮質6層の形成に必要な分子であるリーリンを欠損したマウスを用い、その運動野領域を調べた。ホモ接合型リーラーマウスでは、皮質で上肢を動かす際に必要な電流閾値がWTよりも3倍高い事が分かった。ただし、pyramidal投射ニューロンが、発達段階では逆転してII層に位置しているにも関わらずV層で閾値が低く骨格筋収縮を誘発しやすい、という傾向はWTマウスのそれに類似していた。さらにリーリン欠損は骨格筋に直接影響しない事を明らかにした。ヘテロ接合型リーラーマウスでは、運動依存的な領域マップ再構築の低下及び皮質II/III層でLTPの減少が確認された。
|