研究課題
若手研究(B)
我々は降雨が運動中のヒトの体温・エネルギー代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、研究を行なった。研究期間には①降雨と風を伴った冷環境下の走運動②降雨と風を伴った冷環境下の中強度走運動③降雨と風を伴った中性温環境下の走運動 の3条件で実験を遂行した。その結果、降雨環境あるいは降雨と風を伴う環境は、身体冷却を原因とした酸素摂取量の増加や血中乳酸濃度・血漿エピネフリン濃度の上昇が観察され、運動パフォーマンスの低下の原因となることが示唆された。
運動生理学
一般的に冷環境下や中性環境下の運動は過度な体温上昇に至らず、長時間運動には適した環境と考えられている。しかしながら、本研究の結果から降雨や降雨と風を伴うと、身体や衣服が濡れることで熱伝導率が上がり、また対流による熱放散が増加するため、身体冷却を原因とした運動パフォーマンスの低下が起きる可能性が示唆された。これらの結果は、屋外運動を実施するヒトの運動パフォーマンスや安全性の向上に有益な情報となる。