研究課題/領域番号 |
17K13209
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
村松 愛梨奈 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60757996)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エナジーアベラビリティー / 女性アスリート |
研究実績の概要 |
本研究の目的はスポーツ現場で利用可能なエナジーアベラビリティー(EA)の簡易評価法の開発および日本人女性アスリートの三主徴予防のためのEAのカットオフ値を検討することである。これらの問題解決のために令和元年度は文献研究と並行してEA調査を進めていく予定であったが、協力先の大学の研究関係により実施時期が再調整となったため、令和2年度で再調整を行う。文献研究では諸外国のEAに関する論文をまとめており、諸外国の動向を踏まえると、EAのカットオフ値だけに限定せず、次年度はスクリーニングに利用できる低EAリスクの程度評価も視野に入れて検討する必要性がある。現在諸外国も同様にスポーツ現場でのEAの実測が問題視されており、実際のEA値だけでなく低EAリスクを評価できる代替指標についても検討されている。その中で低EAがエネルギー代謝率の低下を引き起こす報告もあり、その指標として安静時エネルギー消費量の低下(Low REE)が用いられている。そこで、本年度では日本人女性アスリート7名を対象にエネルギー不足の程度(1日のエネルギーバランス:EB)およびREEを分析し、エネルギー代謝率を検討した。その結果、対象者のEBは大きく負に傾いており、それに伴い4名の対象者がLow REE状態を示した。このように、代替指標により低EAリスクを検討する方法も有益である可能性が考えられた。一方で、諸外国ではアンケートによる低EAリスク調査も行われており、手法は実測よりも遥かに簡易的で、スポーツ現場への普及も含めて有益な可能性があるため、簡易法の検討については上記手法も視野にいれ、今後は実測値との関係性を検討していきたい。しかしながら最終年度は新型コロナウイルスによる影響も考えられるため、接触を伴う実験については慎重に判断の上、現状は文献研究を進めながらアンケートを用いた簡易調査を優先した実施の予定で進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度に研究機関の変更があったため、これまで利用していた研究環境の使用や所属大学の被験者の承諾が難しく、改めて研究環境の確保や調整、被験者の選定も再調整する必要があったため、初年度は調整に時間を要し、現在の進捗状況としては、全体的に遅れている状況である。 その後、必要な機材の確保や調整、近隣大学への研究協力への承諾をいただき、実質的に研究計画の見通しを立てることができ、平成31年度にかけて実験を実施していく予定であった。しかしながら、協力先の研究の状況・関係により、実験自体が延期となり、再度調整をしているところである。そのため、並行して実施していた文献研究を継続的に実施して、文献をまとめている。文献研究により明らかとなったことは、諸外国においてもスポーツ現場におけるエナジーアベラビリティー(EA)の評価の難しさが問題視されており、代替となる指標(リスクを評価できる指標)を検討している研究も多く報告されていた。その中では実際にEAと関連指標の関係性を調査し、低EAはエネルギー代謝率にも影響を及ぼし、LowREEに繋がることも示唆されており、研究代表者が実施した女性アスリート7名を対象とした実験においても同様の傾向が見られていることが明らかとなった。そのほか、アンケート調査によるリスクの程度調査も検討しており、アンケート作成を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究機関の変更により生じた研究環境や被験者の再選定などの状況の変化に合わせて、平成30年度に研究環境を加味した上で再検討し、機器を購入や近隣大学への研究調査の協力依頼など実験準備を進めた。このように、研究環境を整えることができ、被験者選定や研究環境の確保は具体的に実施できたが、平成31年度に予定されていた実験については協力先の研究の状況・関係により、時期の再調整となり、エナジーアベラビリティー(EA)の実測については実施できていない状況である。そのため、これらの現状を踏まえて、令和2年度において実験を中心に進めていく予定ではあるが、新型の感染症との状況の兼ね合いを見据えて、実験の実施だけでなく、まずは文献研究と合わせて、諸外国で有効とされている簡易的な手法(接触の伴わない)によりEAのリスク程度の調査を行なっていきたいと考える。その上で、改めて実際のEA測定値とリスクの程度調査の内容との関係性を検討していく形を目指す。なお、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、実験の再開時期については慎重に検討をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験自体が遅れているため、実験協力者への謝金が繰り越しとなっている。実験機器に関する消耗品などの支出も次年度に必要となるため、繰越された分は実験に伴い、使用を行う予定である。
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