本研究では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の進行と肝常在性マクロファージ(クッパー細胞)における糖鎖抗原の発現との相関を調査した。マウスモデルを用いた検討の結果、NASHの発症に伴ってクッパー細胞の膜タンパク質に起こる糖鎖修飾が速やかに変動し、ガラクトース/N-アセチルガラクトサミン残基を有した糖鎖の発現が亢進することを明らかにした。また、病態が進行するにつれて糖鎖の分岐構造のバリエーションに変化が生じることを明らかにできた。さらに、遺伝子発現変動解析の結果から、このような糖鎖修飾の変化がB3gnt5遺伝子の発現亢進、およびSt6gal1遺伝子の発現低下に起因することが示唆された。
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