研究課題/領域番号 |
17K13298
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
嶽本 新奈 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (90795056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジェンダー / 移動 / 「からゆきさん」 / 慰霊碑 / 再生産 |
研究実績の概要 |
3年目にあたる2019年度の最大の成果は、古い音声資料の文字起こしだといえる。残された音源が古いテープだったため音質も悪かったのだが、島原の地元の人の協力で音質をクリアにしてもらい、さらに、強い島原のアクセントや固有名詞などの読解にも大きな協力を得ることができた。だが、まだ聞き取りができない部分や、話の流れが追えない部分もあるため、音声資料と文字起こしをした原稿を手がかりにひとつひとつ実証していく必要があると認識している。 また、九州の地方新聞や関連文献の資料収集を行った。その分析自体はまだ途上にあるが、当時の歴史的文脈のなかに息づく芸娼妓へのまなざしが垣間見える資料群は、今後の研究にも大いに役立つと考えている。 最後に、研究対象である「からゆきさん」と所縁のある熊本の地元の人にもインタビューができたことも成果のひとつと言えるだろう。だが、折からのCOVIDー19の流行によって、ご高齢であるその人への再度のインタビューは中断されたままである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進行がやや遅れている理由のひとつは、上の実績で書いた音声資料の文字起こしに膨大な時間がかかったためである。音質の悪さと地域の強いアクセントのため、言葉を聞き取り、読解するまでに相当な時間を費やす必要があったからである。加えて、ふたつめの理由として、音声資料で話される裏付けに現地調査のため海外へ行くことを予定していたが、COVID-19の流行と感染リスクの回避のため、計画していた調査を取りやめる決断をしなければならなかったからである。現地で資料調査をするつもりだったため、この度のCOVID-19の流行は大きな打撃であった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の流行の状況によってはしばらく海外調査どころか、国内での調査自体も控えねばならないことを危惧しているが、現段階では仕方ないので、これまで収集してきた資料の整理・分析を進めるとともに、音声資料のさらなる聞き込みを行い、申請書の実施計画に沿って研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも音声資料の文字起こしに時間がかかってしまったためと、予定していた海外調査がCOVID-19の流行によってとりやめになったため、旅費として申請していた分が来年度に繰り越されることになってしまった。次年度はCOVID-19次第ではあるが、より計画的に研究を遂行できるよう見直していく予定である。
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