研究課題/領域番号 |
17K13298
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
嶽本 新奈 明治学院大学, 国際平和研究所, 助手 (90795056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジェンダー / 移動 / 性売買 / 再生産 / からゆきさん |
研究実績の概要 |
COVID-19の流行で海外出張ができず本来予定していた資料調査ができなかったため、国内での資料調査、関連論文の収集に努めた。今年度は、尼港事件で亡くなった「からゆきさん」もその名を刻む「殉難碑」の調査をし、あわせて尼港事件が起こる前に「からゆきさん」たちがシベリア地域でどのような環境の中で生活をしていたのかを探るため関連文献を収集した。 尼港事件関連の「殉難碑」は島原、天草だけでなく日本全国に複数あり、今回は島原、天草の「殉難碑」の調査を行った。また、当時の回想録からは、「からゆきさん」がロシア人、朝鮮人、中国人の人々と連れ添ったり、婚姻関係を結んでいたことなどが浮かび上がってきたが、尼港事件以降、帝国主義的な言説が高まり、「からゆきさん」含む日本人犠牲者の死はナショナリズム高揚の手段に使われ、「からゆきさん」が多様な民族の中で生活をし、関係を結んでいた側面は忘却されていったことを考察した。 昨年度まで行っていた元「からゆきさん」の音声インタビューの調査は今年度も継続して行い、地元の方に案内していただき墓所にも参った。冒頭に記した理由でシンガポール、マレーシア調査はできなかったが、次年度に渡航規制が緩和されれば調査を実行したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最大の理由は、COVID-19の流行のため渡航規制がかかり、予定していた海外調査ができなかったからである。元「からゆきさん」のインタビューの跡付け調査を行う予定であったが、海外への出張が認められなかったのは、仕方がないこととはいえ研究の進捗状況に大きな影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2022年度)はどうやら渡航規制が緩和されるようなので、予定していた海外に行き、現地調査や資料収集等に励み、遅れを取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行により予定していた海外調査を実施することができなかったため。
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