研究課題/領域番号 |
17K13298
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
ジェンダー
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研究機関 | お茶の水女子大学 (2022) 明治学院大学 (2017-2021) |
研究代表者 |
嶽本 新奈 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任講師 (90795056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | からゆきさん / 移動 / 再生産労働 / ジェンダー / 性売買 |
研究成果の概要 |
COVID-19の流行により海外渡航が不可能となってしまったため、計画の変更を余儀なくされてしまった。そのうえで、本研究で得られた知見は以下のとおりである。 第一に、これまで「からゆきさん」といえば、海外の地で売春をしていた/させられていたことに注目が集まっていたが、身請けをされ、娼館を出た後の女性たちを辿ると、娼館を出て以降も女性たちが「奉公」のような形である種の契約関係の下にいた場合があることが確認できた。第二に、性売買の経験のみではなく、生殖やケアも含めた女性の再生産領域に注目することで、女性たちにとっての子どもの不在がその女性の生涯的にどのような意味をもつのかについての洞察を得られた。
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自由記述の分野 |
歴史学・ジェンダー史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義としては次の二点が挙げられる。第一に、尼港事件で犠牲になった「からゆきさん」の北東アジアにおけるネットワークを分析し、当時の回想録から彼女たちがロシア人、朝鮮人、中国人の人々と連れ添ったり、婚姻関係を結んでいたことを明らかにした。しかし尼港事件以降、帝国主義的なナショナリズム言説の高まりの中で彼女たちが多様な民族と関係を結んでいた側面が忘却されていったことを指摘した。第二に、これまであまり考察の対象とされなかった「からゆきさん」の「不妊」の問題について、「生む/生めない」ことによる女性の分断として問題化した森崎和江を媒介に、「からゆきさん」の再生産領域の問題として位置づけた。
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