研究課題/領域番号 |
17K13416
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 金沢大学 (2020) 金沢学院大学 (2017-2019) |
研究代表者 |
工藤 義信 金沢大学, 外国語教育系, 助教 (70757674)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | テクストの意図的編集 / 個別の現存写本の特質 / 15世紀イングランドの宗教・政治文化 / 15世紀英語教訓詩 / 筆耕者による詩行追加 / ミセラニー写本 / 写本制作依頼者の意図・関心 / 収録テクストの組み合わせ |
研究成果の概要 |
本研究は、15世紀の英語教訓詩、ピーター・イドリー作『息子への教え』を収録した11点の現存写本のうち、とくに顕著なテクスト上の特徴を有する2写本に焦点を当てた。関連の深い他の3写本との比較等を通して、2写本におけるイドリーのテクストの編集上の特徴を分析し、その理由・背景を考察した。一方では、当時の宗教的・政治的状況を背景とした写本編纂者によるテクストの意図的な編集が認められ、他方では、筆耕者による不足部分の追加、制作依頼者による所有物としての写本の意味づけとイドリー教訓詩の収録との関連、写本内の他のテクストとのテーマ上の関連性が浮き彫りとなり、15世紀英語教訓詩の受容の一端が明らかとなった。
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自由記述の分野 |
中世英文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
主要な学術的意義として、ピーター・イドリー写本研究における新規性が挙げられる。1940年以降、イドリーの教訓詩を収録した写本が新たに複数見つかったが、それらを踏まえた研究は殆ど進展していない。本研究が焦点を当てた写本の一つに大英図書館所蔵本があるが、本研究はこれを1940年以後に発見された写本の一つと比較することでテクストの意図的な編集を明らかにしており、その点で新写本の存在を踏まえた初めての写本比較研究例である。本研究によりイドリー教訓詩の性質と現存するテクストの多様なバージョンへの理解が確実に深まり、中世の写本文化において一作品が変容を遂げて伝わる過程の媒介者の役割が新たな形で認識された。
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