研究課題/領域番号 |
17K13429
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
金沢 友緒 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 講師 (20785828)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近代ロシア / 気球 / 科学 / エカチェリーナ2世 / フランス / ドイツ |
研究実績の概要 |
本研究は、近代ロシア社会の形成過程にみる、ヨーロッパ文化受容を明らかにする作業の一環である。18世紀末に、ヨーロッパ世界を中心に衝撃を与えたフランスのモンゴルフィエ兄弟による熱気球実験の成功は、ロシアにおいても大きな反響を呼んだ。しかしロシアの場合、気球は科学の進歩としてだけでなく、先進国としてのフランス文化の影響と役割について再考する契機になったのである。本研究はこの気球による飛行実験が成功した1783年を起点に、ロシアの作家や政府の要人達の反応を考察するものであり、初年度以降、気球誕生直後からロシアで気球実験が禁止されるまでの期間、及び禁令施行後の時期の作家達の作品を中心に資料調査を行っている。 コロナ感染拡大状況下において、昨年度に引き続き今年度もロシアでの資料調査は実施することができなかったが、昨年度開催予定であった国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)が1年延期の末、今年度、オンラインで開催されたことで成果発表を報告することができた。 なお、年度末には北海道大学スラヴ・ユーラシア研究センタ―の図書室での調査を行い、「18世紀ロシアコレクション」を中心に資料の収集にあたった。 また、18世紀後半の児童雑誌に掲載された作品の中から、飛行と関わりあるテーマとして「気象」を扱ったエピソードの情報収集と考察に取り組み、成果の一部をロシア・フォークロアの会(オンライン実施)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染拡大が収束をみず、資料調査のための国内外の出張、諸研究機関の利用が叶わなかった。また、研究・教育の遠隔化に伴う準備に多くの時間と労力を割くこととなった。 2020年夏期に開催される予定であった国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES、モントリオール)がコロナ禍で1年延期され、今年度夏期にオンライン開催となったことで、成果を発表することができた。また、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでの資料収集も実現したことから、昨年度に比べて作業は進展をみたと言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染拡大の影響の下で、最終年度の延長が認められたため、今年度実現しなかったロシアへにおける資料収集を最終年度において実現したいと考えている。 その他、昨年度に引き続き、18世紀ロシアの資料を豊富に所蔵している北海道スラブ・ユーラシア研究センターでのマイクロフィルム資料の収集を行うと共に、これまでに収集したテクストの考察を行う。 また、今年度国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)にて行った研究報告の内容を、欧語論文として発表することを心がけたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大を受け、昨年度に引き続き必要な作業を大幅に制限されることになった。また、研究・教育の遠隔化の準備に伴って多大な時間と労力を要し、今年度中の当該研究の完了は不可能と考え、次年度への延長を申請するに至った。
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