本研究では、産業別最低賃金を端緒として労使自治機構の再構築を考察した。現行の労使慣行を正確にふまえるため、労使当事者の協力を得て積極的な意見交換をしながら、産業別最低賃金の歴史と機能に関する考察を行った。その結果、特定最低賃金制度改革の具体的提言、日本の最低賃金制度の課題をまとめることができた。また、比較法的視点からイギリスやカナダの制度を検討した。さらに、賃金設定一般や解雇,産業に広がる正規・非正規格差問題に関連する「同一労働同一賃金」といった労働契約関係の重要な局面における法解釈論や制度論を提示し、学術的理論化を進めるとともに、実務における法解釈のあり方を提示することができた。
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