研究課題/領域番号 |
17K13665
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
一家 綱邦 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究支援センター, 室長 (50453981)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 医事法 / 研究倫理 / 臨床研究法 / 再生医療安全性確保法 / 医学研究規制 / 個人情報保護法 |
研究実績の概要 |
2017年度は2017年4月公布・2018年4月施行の臨床研究法への対応準備に医学界が大きく追われた1年であったが、本研究課題のテーマを検討するためには様々な機会を得られた1年でもあり、一定程度以上の成果を残すことができたと考える。 臨床研究法施行規則の原案を作る厚生科学審議会・臨床研究部会の会議を傍聴し、傍聴出席者と意見交換を行ったり、同期間において研究倫理研究会(主催・事務局:東京大学医科学研究所公共政策研究分野)メンバーと議論をしたり、自身が所属する医学研究機関において研究倫理委員会の委員及びスタッフ並びに研究管理部門・支援部門スタッフと対応を検討したりした。こうした活動を通じて、法規制の生成過程からその規制を使用する医学研究現場の対応・準備活動までを具に見て検討することができた。 また、臨床研究法は現時点で直接の規制対象とする特定臨床研究だけでなく、今後他領域の研究活動にまで規制範囲を広げることが予想されている。同法の影響が2017年度に既に最初に現れたのが、再生医療安全性確保法施行規則であり、同規則の内容を臨床研究法の内容に合わせて改めることがほぼ既定路線となっている。そうした動きも時宜に捉えて、従来行ってきた再生医療の規制についての研究成果とあわせて、本研究課題の成果を出すことができた。 具体的な学術研究成果としては、単著論文3本(うち2本は書籍収録)、共著英語論文1本、学会発表2本である。その他、様々な大学に講師として招聘され、臨床研究法や再生医療法に関する講演を行い、参加者と意見交換を行うことで、成果発表と医学研究現場からのフィードバックの両方を果たすことができている。 なお、2017年度前期と後期において申請者の所属機関が変わった分、研究活動にロスが生じた点は否めないと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究法という本研究課題の対象に相応しい法規制の公布から施行までの1年間を本研究課題のスタート年度に設定したことが順調に本研究課題を始められた第一の理由である。 第二の理由は、申請者の所属機関が医学研究機関であることから、医学研究を規制又は支援する様々な立場の人々と意見交換をする機会が豊富にあり、本研究課題のテーマである法規制の動態をタイムリーに捉えることができた点にある。ただ、2017年度前期と後期において申請者の所属機関が変わった分、研究活動にロスが生じた点は否めないと考えており、その点が「当初の計画以上に進行した」という最大の自己評価にまでは至らない理由である。しかし、このロスは短期的なものであり、既に現在の所属機関においてリカバリーは十分できており、次年度以降の研究活動には支障は生じない。 第三の理由としては、研究成果をタイムリー且つスムーズに論文や学会発表という形で公表することができた点にある。すなわち、その研究成果発表を読んだ、聞いた他の研究者からも適切な様々な意見を得ることができており、そうした意見や議論の成果は次年度以降の本研究課題の進行に役立てていくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は臨床研究法施行後の最初の年になり、混乱も含めた様々なリアクションが医学研究界で生じることが予測できる。まずは、その状況すなわち法規制が規制対象の現場にどのような影響を及ぼすのかを正確に観察することが重要な本研究課題の研究活動になる。また、申請者自身がその規制を運用する立場にもあるので、言い換えれば、法規制の適用を受ける対象でもあるので、法規制をどのように使いこなすことが、医学研究を発展させるという法規制本来の目的に沿うのかを引き続き考えていきたい。さらには、法規制が動き始める今年度からは、規制が直接的に対象とする医学研究者とも様々な機会において意見交換を行いたいと考えている。 また、本申請課題を始める前から協力関係を築いてきた人々、申請課題初年度に新たに協力関係を築くことができた人々と継続して、連携・協力関係を維持していきたいと考える。さらには研究成果については、時機を逃すことなく発表することによって、時機を得た意見交換を行い、本申請課題へのフィードバックを得られるように努める。
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