研究活動の最終年度であったために、これまでの研究成果を取りまとめる活動と今後の研究の継続的な発展を目指した活動を行った。 第一には、研究倫理の基本的な考え方や要点を整理する論文を、医学系雑誌「総合リハビリテーション」に発表する(2024年5月発表予定)。 第二には、臨床研究ではなく自由診療で実施される再生医療の実態を明らかにした研究論文を複数の雑誌に発表した。国際的な再生医学の専門誌Stem Cell Reoorts誌、日本医事法学会の学会誌「年報医事法学」、がん領域の医学専門誌「腫瘍内科」である。特にStem Cell Reoorts誌の論文は複数の日本のマスメディアにも取り上げられて、大きな反響があった。また、同じ問題意識を持って、日本法社会学会2023年度研究大会で個人報告し、日本医事法学会第53回研究大会においてワークショップを開催した。また、これまでの研究成果が社会に知られることで再生医療分野の専門家との交流も活発になり、複数のシンポジウムや研究会で報告する機会を得た。 第三には、研究倫理に基づくわが国の規制について、医学研究機関等において複数回の講演・報告を行い、また、研究倫理指針の改正内容に関する情報発信を行い、研究倫理指針や法による規制の影響や問題点などについて研究現場の実情を踏まえて把握・検討することができた。また、厚生労働省の「認定臨床研究審査委員会審査能力向上促進のための調査等事業(代表機関:大阪大学)」に有識者の一員として参加し、研究を適切に審査するためのツール開発に助力した。 研究期間全体を振り返って、医学研究規制のあり方を考える研究とその成果を社会にタイムリーに発信することで、フィードバックを得られ、それをまた次の研究に活かすという好循環を実現できたと考える。
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