研究課題/領域番号 |
17K13727
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
石井 利江子 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (40456918)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 公共入札 / 競争政策 |
研究実績の概要 |
2017年度は主として、工事業者による工事品質の選択行動ついて分析を行った。 国土交通省の調査では、入札額が低いときに工事品質も低くなる、という結果が示されており、これを根拠として、公共入札において落札額の下限を定める最低制限価格は数年間隔で引き上げられている。しかしながら、国土交通省の調査は、工事の特性や工事業者の特性などを考慮せず、落札額と工事評定値の単純な相関を指摘しているものであるため、落札額と工事品質の因果関係が明らかになったとは言い切れない。この問題に対し、2017年度は地方自治体の公共工事の入札結果、工事評定値、入札者の属性のデータを収集してデータベースを作成し、入札行動と品質選択行動の両方に影響を与えうるさまざまな要因を考慮してもなお、低価格が低品質の原因といえるのか分析を行った。価格以外にも品質に影響しうる要因として、劣悪な工事を行った場合のペナルティが挙げられる。本研究では、ペナルティの大きさを指標化し、品質に与える影響もあわせて分析している。市町村レベルの入札工事のデータを用いた分析で現在のところ得られている結果では、様々な要因の影響を排除すると、価格が品質に与える影響は国土交通省が指摘するほど明確なものではない。この結果は今後、さらに追加的な分析を行うことによって検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、2017年度は公共入札における落札額と工事品質の研究を、ある地方自治体のデータを用いて行った。一通りの結果は得られているが、頑健性の検証や修正・投稿は2018年度の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は引き続き、公共事業における入札行動と工事品質選択行動の研究を継続する。入札額の工事品質に対する因果関係の有無を特定するための追加的な分析を行うことによって、2017年の分析結果の頑健性を検証することが主要な課題となる。また、得られた成果を国際ジャーナルに投稿し、学会等で発表していくことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は出張を行わなかったため、約30,000円の次年度繰り越し金が生じた。
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