本研究は、様々なハザードに起因する災害事例の比較研究を通して、災害文化の形成・継承・変質過程に関わる理論的考察を深めることを目指して実施した。その結果、以下のことが明らかになった。 まず、各プロセスには災害の常襲性(頻度)・将来予測が影響を与えうることが明らかになった。「あの大災害」をどのように伝えるのか、恵みと災害を繰り返しもたらす自然にどう向き合っていくのかというテーマに向かう中で、個々の特徴があらわれていった。次に、他の被災地との交流などによって、双方の災害文化に影響を与えうることが明らかになった。また、行政と住民の追悼や伝承の姿勢やあり方が、これらと密接に関わっていることも確認された。
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