研究課題
若手研究(B)
個人間の先制攻撃ゲームを用いた実験により、相手の攻撃力が高い場合に外集団への攻撃が促進されるという現象は必ずしも再現されず、限定された条件でのみ生じることが示唆された。一方、新しく開発した集団間対抗先制攻撃ゲームを用いた実験の結果、個人単位の先制攻撃と集団単位の先制攻撃の間の相関は弱く、また、集団間攻撃に対する協力と集団内の資源を増やすための協力との間に関連が見られないことが示された。
進化心理学
極端な例としての戦争も含む集団間葛藤問題は我々が解決すべき課題のひとつである。外集団に対する攻撃がなぜ、どのようにして生じるのかを理解することは集団間葛藤問題の解決にもつながると考えられる。本研究は、これまで集団内の協力とあまり区別されずに扱われてきた集団間の攻撃がそれぞれ別の心理によって生じうる可能性を示したこと、そして外集団への攻撃が集団内協力ほどは容易に生じないことを示した点で学術的にも社会的にも意義ある研究だと言えるだろう。