本研究では,幼児・児童の数能力の発達を測定する上で最も重要な指標のひとつであり,等間隔に数を表象する能力である「心的数直線(mental number line)」と手指の関係について検討した。その結果,数記号であらわされるような抽象的な数直線は突然形成されるのではなく,その前段階として,Okamoto(2010)が指摘していた「心的モノ直線(mental “object” line)」が形成されることが示唆された。また,年長児と小学1年生では,心的数直線と手指のイメージに関連が見られた一方,小学2年生では両者に関連は見られなかったことから,心的モノ直線のモノは手指である可能性が示唆された。
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