研究課題
令和元年度は,今までのデータを分析し,研究の総括を行った。最終年度である本年度は,介入した依存症患者のフォローアップデータの収集と,プログラムに関わった医療スタッフの依存症に対する態度の測定を行い,統計解析を行った。本研究期間において,依存症者の治療後のフォローアップデータを収取し,今までの治療との比較を行った結果,1年間の治療継続は先行研究の通り少なくなったものの,新しい治療プログラムは従来の治療法と比較して遜色がないこと,さらに治療からの脱落が少ないことを示すことができた。また,医療スタッフに対しては,アルコール依存症者に対する態度の変化を調査した。本研究で開発した治療プログラムは,初年度において使いやすさ(ユーザビリティ)が確認されている。そのため以上の結果から,本研究の目的であった依存症治療の経験が少ないスタッフでも実施可能なアルコール依存治療のプログラムが完成されたと判断できた。さらに,治療に参加して依存症者と接する経験が,依存症者へのネガティブな態度を和らげることが明らかになった。そのため,本プログラムを使用してアルコール依存症者の治療に携わることで,医療スタッフの依存症に対する態度も良好になると考えられる。なお,研究結果は学会発表等で公表しており,研究機関内に公表できなかった情報についても,論文等によって公表する準備を進めている。また,申請者個人のホームページ上で,本研究の成果公表の一覧を掲示している。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
行動科学
巻: 57 ページ: 123-130