研究課題/領域番号 |
17K14048
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
中園 長新 東京福祉大学, 教育学部, 講師 (10646897)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教科「情報」 / 教員養成 / 情報教育 / 教育学 |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナ禍による影響で、当初予定していた対面インタビュー調査や学校現場での参与観察が実施できなかった。そのため、本年度は文献調査や研究報告等の整理と分析およびオンラインでの研究活動を主として研究を進めるとともに、研究成果を学会等で積極的に発表した。 高等学校教科「情報」教員については、昨今の情報教育・ICT活用に対する意識の高まりを受けて、状況が大きく変化している。各自治体の教員採用試験では、教科「情報」教員の採用数を増やしたり、情報以外の免許(いわゆる副免許)を採用条件としないように変更したりといった取組から、より多くの教員を確保しようとする姿勢がみられる。一方で、情報教育や教科「情報」が、タブレット等のICT活用やプログラミング教育ばかりフォーカスされ、情報活用能力の育成という本来の意義が十分に理解されていない状況は、未だ改善されていないと考えられる。 高等学校教科「情報」を検討するにあたっては、高等学校入学前の段階である小学校・中学校等の変化も意識する必要がある。小学校プログラミング教育やGIGAスクール構想により、今後は高等学校入学者の資質・能力が変化することも考えられる。また、高等学校教科「情報」そのものについても、新学習指導要領への移行準備や、大学入学共通テストへの科目追加、あるいは人工知能(AI)に代表される技術・社会の変革等、大きな変化が予測されている。本年度はそうした動向に関する情報を収集するとともに、関係者の意識調査に向けた検討を推進した。 具体的な研究成果として、新学習指導要領については、選択科目「情報Ⅱ」の導入に対する教員の意識調査を行い、科目新設には好意的だが実践には不安を感じる声が得られた。また、教科「情報」と人工知能や学校図書館等の様々なものとの関わりを調査・検討し、今後の教科「情報」や情報教育の方向性について考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、学校現場における調査や学術会議における資料収集等に代表される、対面での交流が必要となる研究活動が著しく困難になり、予定していた研究活動を十分に遂行できなかった。一方で、2020年度は各種会議・研究会がオンライン開催となったことを活用し、研究成果を積極的に発表し、それによって研究に対する様々な助言を得ることができた。新しい成果は当初予定よりも少ない水準に留まったが、積極的な成果発表により、これまでの研究成果を再検討・再整理することができた。 遅延している調査・研究に関しては、2021年度に継続して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続きコロナ禍による研究活動への影響が懸念されるため、これまでの対面インタビュー調査や学校現場での参与観察を中心とした調査から、オンラインアンケートやオンラインミーティング等を活用した調査を主とするように研究方法の変更を行う。方法の変更にあたっては、当初計画が目指していた目的等を逸脱しないよう、十分な検討を行う。2020年度末にはすでにオンラインアンケート調査を実施しており、過去の調査結果と組み合わせて分析を進めているところである。今後は大学教員等を対象とした調査についても、オンラインで実施することを検討している。 本研究の特色の一つである理論と実践の往還を実現するため、学校や教育行政といった現場の声を多く収集する必要があるが、この点についてはオンラインミーティングをはじめ、代替策を講じていく。社会情勢が好転した場合は、感染症対策等に最大限の注意を払い、先方との入念な打合せの元で、最小限の参与観察等を行う可能性がある。 研究成果の発表については、引き続き学会における大会・研究会等での口頭発表・ポスター発表等を行うとともに、それらの内容をさらに深化させて学術論文等として発表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、当初予定していた対面でのインタビュー調査や、学校現場等における参与観察等が実施できなかった。また、研究成果発表を行う学会についてもオンライン開催となり、出張旅費の支出がなかった。 本研究課題は、2020年度終了予定であったが、コロナ禍の影響を受けて2021年度末までの延長・継続が認められた。そのため、次年度使用額を有効活用し、今年度実施予定であった調査・研究を実施する。2021年度も引き続きコロナ禍の影響を受けるため、調査等はオンラインでの実施を主とする。出張旅費に代わり、オンライン調査のための機器・環境整備や、資料収集等の割合が高くなる見込である。
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