今年度は研究の総括として、これまで実施してきた研究成果の対外発表を多く実施した。また、コロナ禍の長期化により、インタビュー等の実地調査が困難になった点については、実施できる範囲での調査に加えて、文献調査等を活用し、補完した。 高等学校情報科は、新しい学習指導要領の学年進行実施や、入試科目としての導入といった教育界の変化に加えて、コロナ禍におけるICT活用の推進やAI(人工知能)の発展・普及等、社会のさまざまな変化から影響を受けている。そうした変革期における意識として、今年度は教員採用試験における出題者の意図や、教育振興基本計画に含意された政策の方向性、あるいは大学における情報教育に関する動向等を分析調査することによって、本研究の主題である「大学等ならびに教育委員会の意識分析」を実施した。調査の結果、高等学校情報科については従来からの学びを継続しつつも、時代の変化に即した新しい学びが導入したり、今後の情報社会でより活用できる資質・能力の育成に舵を切ったりしていることが明らかになった。さらに、昨年度より継続している、情報と倫理の観点からみた情報科教員の資質・能力の検討についても継続して調査を行った。近年話題になっているELSI(倫理的・法的・社会的課題)の観点が、高等学校情報科においても重要な役割を果たすことが示唆された。 本研究の研究成果は、国内学会の研究会における研究報告論文・登壇発表や、全国大会における発表を複数行った。さらに、国際会議においても2本の研究発表を行い、うち1本は2023年度に査読付論文が刊行予定である。
|