マルチメディアDAISY図書の作成システムをさらに,構築するため,小学校時代にマルチメディアDAISY図書活用経験のある読みに困難のある大学生・社会人(大卒)に対して、詳細にライフヒストリーを聞き取るインタビュー調査を行った.今回の対象者は小学生時代にLD等の診断を受け,読みに困難があるが大学まで進学している4名の成人であった. 小学校時代のマルチメディアDAISY教科書の活用がその後の生活にどのような影響を与え,大学進学に至ったのか,そして大学や社会での学び方,過ごし方を詳細に明らかにするため,ライフヒストリー調査を研究方法として用いる.これによって,マルチメディアDAISY図書に関連する学習環境や入試制度等の社会制度について考究し,マルチメディアDAISY図書の有効性を担保するための社会的条件を明らかにすることを目指した. その結果,4つのライフヒストリーの局面,「1.マルチメディアDAISY図書の導入に関して(小学校時代の学び)」,「2.中学校での学びに関して」,「3.高等学校での学びに関して」,「4.高等教育機関での学びに関して」に沿って聞き取りデータを解析することができた. また. 「①マルチメディアDAISY図書の活用実態」,「②マルチメディアDAISY図書を使用しての本人の自覚」,「③マルチメディアDAISY図書以外の配慮」「④入学試験の配慮に関して」の視点も含めて分析を行った.
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