研究課題
若手研究(B)
本研究で得られた主たる成果は次の3つである。(1)原子データをインプットとして任意の電子エネルギー分布に対する輝線スペクトル強度を計算できる環境が構築された。(2)計算手法をもとに大型ヘリカル装置で得られた軟X線輝線スペクトルを解析し、高エネルギー電子の割合を導出することにより、加速電子診断手法の妥当性を評価した。(3)提案中の次期太陽観測望遠鏡Solar-C_EUVSTの計測波長帯において非熱的プラズマ診断に適切な輝線を特定した。
プラズマ物理
本研究により、太陽フレアのみならず衝突プラズマ一般において、過去および将来の紫外線・X線分光観測から高エネルギー電子の定量評価が可能な環境が整ったことが大きな意義となる。ただし、適切な輝線の組み合わせが限られること、またインプットとなる原子データの不定性により高エネルギー電子の誤差推定が難しくなることがあげられる。したがって、さらなる原子過程の理解と理論的・実験的な原子モデルの精度向上が今後の課題として挙げられる。